THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2021.05.27

FW育成に関する日本と南米の比較研究 背景①

※2018年発表の論文であり、その当時のデータ・内容そのまま記載しています。(一部注釈にて補足)

 

日本サッカー協会(以下,JFA)は、「JFAの目標2030」として「JFA2005年宣言」で掲げた「JFAの約束2050」の達成に向けて、2030年までに達成すべき新たな目標を設定した。その中の強化目標として、「日本代表チームは、FIFAワールドカップに出場し続け、2030年までにベスト4に入る」と定められている。

また「強化目標2018」では、FIFAランキング-トップ20、「強化目標2020」ではFIFAランキング-トップ10と目標設定していた。しかし、2017年11月23日に発表された(当時の)FIFAランキングでは、日本は55位、アジアでは、32位のイラン、39位のオーストラリアに次いで3位である。

※2021年5月27日発表の最新ランキングでは、日本は28位、トルコが29位、イランが31位である。

 

日本は初出場した1998年から2014年まで延べ5回ワールドカップに出場したが、最高成績はベスト16である。2030年までのワールドカップは2018年、2022年、2026年の3回しかない。「JFAの約束2050」の目標では、その3回で日本サッカーのレベルを、世界でベスト4に入るものにしなければならない。そのために必要なことの1つとして、ゴールを奪える選手の育成が挙げられる。

 

JFA(2016)はリオデジャネイロ五輪での日本代表の特徴として、「シュートの精度を欠いて得点が奪えない」ことを挙げている。2014年のブラジルワールドカップの得点ランキングを見ると、ベスト8に入ったコロンビアのハメス・ロドリゲスが1位、優勝したドイツのトーマス・ミュラーが2位、準優勝であったアルゼンチンのリオネル・メッシが3位と、上位の成績を収めているチームにはストライカーがいる。一方、日本は得点ランキング10位以内に1人もランクインされていない(表1-1)。

 

日本が出場した1998年から2014年までのワールドカップ5大会における、日本の1試合当たりの平均得点は0.82であった。さらに、2014年ワールドカップにおける、日本代表の予選3試合平均得点は0.67点であった。その一方で、ベスト16に入ったチームの予選3試合平均得点は1.88点、ベスト4のチームの予選3試合平均得点は2.50点、優勝したドイツの予選3試合平均得点は2.33点であった。

このように、成績が上位の国は、グループリーグ1試合あたりの平均得点が高く、上位に進出した国と日本には1試合平均得点に差が見られる。1試合平均得点は、大陸別にみても差がある。2014年ワールドカップで大陸別の1試合当たりの平均得点が1番多かったのは、1.89点で南米であった。2番は1.59点で欧州、日本が所属するアジアは0.75点で5大陸中最下位であった.この結果は、1試合当たりの平均勝ち点にも比例しており、1位は南米で2.3点、2位は欧州で1.6点、アジアは最下位の0.3点であった(表1-2).