THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2022.06.10

指導者インタビュー マリオ・レボーショ④

下線部・・・マリオがストライカーに重要な要素にについて言及している箇所

 

松原 ウルグアイ代表でマリオコーチが指導者としてやって来て、今のメンバーは世界的に注目をされ、タレントもいます。今のU-20も強豪で結果も出しています。ウルグイア代表の強さの秘密と秘訣はなんですか?

マリオ 我々のサッカーにある秘訣があります。それは、一般的にどのような状況においてもM28ウルグアイ人は降参をしない精神を持っていると思います。ウルグアイ代表に限っていえることではなく、我々のサッカーそのものの精神です。ウルグアイの人々のあり方によるものだと考えます。確かにそのような精神を持ち合わせているのはウルグアイだけではなく、他国でも同様だと思います。しかし、人口が少ないウルグアイではサッカーの現状においても選手が少なく、M29限られた選手が超越されていることです。ですがM30この数年間では、ユースからのプロセスがもっとも重要な鍵を握っていると思います。プロセスにより、選手達が多くの大会や親善試合でプレーをする機会も増え、また前述のようにユースは1年間を通して、1週間の中で3日間を練習に費やしています。国際大会への参加で生まれる競争精神や親善試合での経験が、選手の能力向上に繋がります。また以前と比較して、それほど多くはなかった国際大会への参加と親善試合により、選手がM4U-20に上がるときには40もの国際戦の経験を積んでいるのです。このようにも、もっとも選手の能力を向上させることができます。この10年間でウルグアイが達成した一つのプロセスでもあるのです。はじめは国際大会への参加や、親善試合へのアプローチに、経済面でも苦戦苦闘もありましたが、それが徐々に改善され今では他国からの招待を受けるまでに至りました。このような招待により、U-17がメキシコ大会で決勝まで勝ち上がり、また4年ほど前にも、U-20も同様に決勝まで勝ち上がることができたのです。U-20が南米王者になってもいますし、今回大会も準決勝まで勝ち上がってもいます。思うに10年ほど前からの取り組みとプロセスにより、ユースは結果を出しているのです。

松原 ウルグアイ代表で指導をしていて難しいことはなんですか?

マリオ 一番困難といえば、南米で行われるワールドカップ予選のためにヨーロッパから選手を呼び戻すことです。予選試合が終われば、最も重要な選手である以上、すぐさま所属チームのリーグ戦のために戻らなければなりません。南米予選といっても、また南米についてからの移動もあります。こういったことで選手には計り知れないストレスや疲れが蓄積されます。望ましいのは、ワールドカップ予選の期間を定め、選手の移動を回避することです。南米の選手と比べて、ヨーロッパの代表チームの選手は、ヨーロッパ園内の移動のみですから、ウルグアイ代表だけでなく南米選手の苦しみはお分かりでしょう。

松原 技術とか戦術とかというより、メンタルの部分に一番気を使うのですか?

マリオ その通りですが、メンタルを変えることはさすがにできません。選手自身は長距離の移動をしなければならないことは理解をしています。事前準備も心得ているはずです。選手のメンタルを変えることができれば一番いいのですが、そうは行きません。最適な体調で試合に臨んでもらえるように、最善の方法でサポートするしかありません。チャーター機を用意したり、乗り継ぎの回数を減らしたり、陸での移動時間の短縮を考えたり諸々です。

松原 ではどうしているのですか?

マリオ 選手とはそういった話しはしないようにし、選手に任せます。

 

 

松原 マリオコーチはタバレス監督の右腕のコーチとしてやっていますが、心がけていることはなんですか。

マリオ アシスタントとして重要だと思うのは監督の側にいることです。必要に応じて指示に従いチームの練習に適切な情報を伝え、サポートすることです。ですが何よりも気をつけなければならないのが、監督とアシスタントの関係の中で互いの一戦を超えない距離感です。それに信頼関係を崩さないことです。それは彼と私の関係に限らず、他の全ての関係者とも同様です。

松原 マリオコーチにとってプロフェッショナルとはなんですか?

マリオ プロフェッショナルとは日頃から事前準備と心がけができるかどうかです。そして日頃から学び続け、任されている役割を果たせるかです。どのような場合でもプロフェッショナルでいることは不可欠です。それは姿勢でもあり、プロフェッショナルとして選手に要求することは要求した側も出来なければいけません。見本でもあり、相手を尊重し、事前準備と心がけにより現状を把握して任されている役割を果たすことだと思います。我々は代表であり、多くの準備を必要とします。日々注意深く見落としがないように気を配り、とくにトップクラスの選手の環境が変わっても、同じコンディションを作ってあげなければいけません。以前のウルグアイ代表の中には、移動にエコノミークラスを使っていた時代もありました。今ではそれも改善され、選手達はチャーター機やファストクラスで移動ができるようになったのです。12時間も移動をすれば、ファストクラスでも体が大きい選手には負担がかかります。こういった選手をケアし、最高のコンディションに整えるのもプロフェッショナルとしての役割です。

松原 ウルグアイ代表はこれからも強くなりますか?

マリオ それを願っています。プロセスの背景にはウルグアイ代表だけではなく、ユース代表も含め常に他国の強豪でいることが重要視とされています。現在、ウルグアイには素晴らしい組織が形成されていますから、日頃から国際レベルの底上げと強豪でいなければなりません。それにより、今後はさらに素晴らしい選手の誕生と成長が期待出来ます。あとは新たなるスアレス選手やカバーニ選手、またはフォルラン選手が誕生するかは、時が判断をするでしょう。どの時代のサッカー選手においても同じではありません。いい時代もあれば、そうでない時代もあります。今の我々にはこのような働きかけにより、トップレベルの選手を得ることができました。以前にも素晴らしい選手はいましたが、上手く選手を強化することができませんでした。

松原 ではストライカーのスアレス選手もカバーニ選手、フォルラン選手を作ったのではなく自然と生まれたのですか?

マリオ フォルラン選手に関しては違います。我々の組織が構築される前から彼はヨーロッパにいました。我々が彼に見たのは代表に必要としていた選手の可能性です。そして必要条件を満たしていたのです。フィジカル技能が高く、そしてプロフェッショナルとしても長けていました。プロフェッショナルの面では、彼は常に最高のコンディションで試合に臨めるように事前準備を心得ていました。体を大切にケアし、サッカー選手であることをしっかりと理解をしていました。M5私生活では注目を浴びないように気を配り、学問をやめることはありませんでした。多くの選手はプロサッカー選手になると学問をやめてしまいます。しかしサッカーをするのと同時に、学問をしないといけません。プロになれなければ、学問なしには生きていけません。ですから当時の我々は、M31下のユースから学問をしっかりと取り入れましたM7フォルラン選手は我々の理想の選手でした。彼が他の選手に、M6サッカーをしながらも同時に学問ができる見本となったのです。スアレス選手とカバーニ選手の場合では、彼らを受け入れたのがU-20のときでした。彼らとはそれほど時間を過さずに、彼らと取り組み始めたのはトップのウルグアイ代表に加入してからです。何よりも彼らの成長に影響を与えたのは本人達の努力です。彼らがヨーロッパに行き、可能性を活かし、ヨーロッパでプロフェッショナルとなったのです。そのほかは全て備えていました。

松原 ご存知の通り日本にはストライカーはいません。

マリオ その通りです、日本はサッカーが上手ですが、ゴールなしでサッカーをしているのと同然です。これは以前に日本代表を指揮したザッケローニ氏が札幌でタバレス監督に言った言葉です。

松原 U-20と戦ってみて如何でしたか?

マリオ とても喜んでいました。我々に4人の重要な選手がいますし、我々のこれまでのプロセスが残した結果です。

松原 やはり結果が大事だということですか?

マリオ いえ。結果は影響しますが、何が重要かと言いますと、プロセスの過程にある背景です。南アフリカ大会が終わった直後にタバレス監督が有名な名言を残しました。それは、過程は報酬である。ワールカップの優勝はできなかったが、代表が歩んだ過程には大きな価値があるという意味です。これがなによりも重要です。時には勝ち、時には負けるチームあります。ユベントスはチャンピオンズの決勝でいいプレーができませんでした。ですが、決勝までにたどり着く過程があったのです。大会で優勝することは目標でもあり重要ですが、負けも重要なのです。なぜなら負けによる学びが存在するからです。