THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2022.05.27

指導者インタビュー マリオ・レボーショ②

下線部・・・マリオがストライカーに重要な要素にについて言及している箇所

 

松原 ストライカーに絶対的な要素はなんですか?

マリオ まさしくストライカーに絶対的に必要な要素は、ゴールを奪うためにどれほどの技能を持っているかです。選手がゴールを奪うために必要な技能と選手に欠かすことのできない能力としていえるのが、高いフィジカル技能と十分なテクニカルとまたスピードが重要な要素だと考えます。

松原 それは育成の段階でのお話でしょうか?それともトップ選手での意味ですか?

マリオ M1二種類の選手に区分できます

前者はすでにフィジカルとテクニカルを生まれ持っている選手。後者はフィジカルとテクニカルをプロセスの過程で理解をして、自身に組み込んで行く選手です。前者の選手を持っている場合に、コーチにとって重要なのが、さらにその可能性を向上させることにあります。後者の選手である場合は指導によって要素を引き出し、選手を強化します。これらが最もコーチにとって重要な役割の1つです。また選手本人がスキルアップをするために、M8不足している要素をどこまで理解しているかも重要だと考えます。なぜなら理解をしている選手と、していない選手では成長に大きな差が生じるからです。

松原 育成年代の時に、ストライカーになるためにすべきことはありますか?

マリオ 年齢によって異なると考えます。

初期段階であるM10 12歳までのユース選手の場合で説明しますと、フィジカルを強化する指導はできません。テクニカル面の要素を開発していきます。選手が明らかなテクニックを取得することにより、選手本人の自信につながり、それにより可能性が広がるのです。年齢によって異なりますが、M9 12歳までの選手にとって最も重要な要素は、テクニカル面を身に付けることだと思います。次に、年齢の成長に伴い、選手が生まれ持っているフィジカル要素が与える可能性が重要です。テクニカルはどの段階でも強化することはできます。青年がスピードに優れていないのであれば、スピードを強化することもできますが、他の要素ほど強化することはできません。

松原 スアレス選手やカバーニ選手、フォルランといった選手がウルグアイ代表に出てきていますが、マリオコーチは彼を何年くらいみてきましたか?

マリオ 今、ウルグアイ代表にこういった3人の選手が揃うのはまさしく奇跡に等しいです。奇跡に等しいというのは、同じ時代にレベルの高いフォワードが3人揃い代表でプレーしていることです。ウルグアイ代表には奇跡が起きましたが、他国の代表では稀にあることではありません。そしてウルグアイの人口を考えてきてください。人口が少ないウルグアイで、ポテンシャルを備えた選手が現れたのは幸運でもあり奇跡に等しいのです。

松原 そう言った歴史の中から生まれたのではなくて、偶然に誕生したと言うことでしょうか?

マリオ その通りだと断言できます。正しく偶然です。歴代のウルグアイ代表を思い出してください。確かにストライカーはいましたが、せいぜい各時代に1人です。ですが、今回のウルグアイ代表では3人ものストライカーが揃っています。ですから私は偶然だと言っているのです。そしてスアレス選手とカバーニ選手が同じ年齢であると共に、彼らは2007年のU-20でフォワードとしてプレーしたことも偶然です。私が思うに、M11スアレス選手とカバーニ選手の成長に大きな役割をはたしたのは、ディエゴ・フォルランです。それはフォルランが年上でもあり、彼ら以上に経験を積んでいたからです。

松原 代表チームの目標とはなんですか?

マリオ ワールドカップ予選を勝ち抜いて、ワールカップに出場することです。ワールカップに出場することは、ウルグアイにとってもウルグアイ代表の選手にとっても国民にとっても重要です。

松原 これまでウルグアイ代表は、ワールドカップで優勝もしています。ベスト4にも勝ち上がりました。予選では本大会に出ることを目標としていますが、本大会に出場した場合はどのような目標になりますか?

マリオ 南アフリカ大会を機に、ウルグアイ代表が他国のトップレベル代表チームと、張りあえることを示してくれました。そして今のウルグアイ代表には、トップクラスの選手が4、5人いますし、年齢にもよりますが、彼らを活かさない手段はないのです。中には100試合以上、代表戦に出場している選手もいます。ロシア大会では、ウルグアイ代表が持つ経験と競争力で臨むと信じています。ですから、優勝を目標としていますが、まずは予選を勝ち抜くことが大事です。予選を勝ち抜くことにより得られる開放感もありますし、それにより本大会に備えることもできるのです。

松原 チームを作る時に守備から作るのですか?それとも攻撃から作るのですか?

マリオ 普段であれば様々なポシションから考えなければなりませんが、ウルグアイには名言があります。常に後ろから前にチームを構成する意味の名言です。ですが、今のウルグアイ代表にはスアレス選手やカバーニ選手のようなフォワードがいる場合は異なってきます。

松原 実際、現在のウルグアイ代表チームもそうですか?

マリオ M2スアレス選手やカバーニ選手がフォワードだと決まっていれば、あとはどの選手が必要なのかを考えるだけです。とても相対的です。

松原 ということは、どちらですか?

マリオ 先ほどは守備からといっていたのですが、攻撃からだとも言っていますね。

松原 実際にはどちらからですか?

マリオ 実際に1つのチームが存在している現状においてよくいわれることは、全てのチームには後ろの中心から前方の中心にかけて一つの柱が形成されているかということです。例えば私がチームを構成する場合を考えてみましょう。まずは優れたGK、優れたDF、優れたMF、そして優れたFW。これがいわゆる後ろの中心から前方の中心にかけて形成される柱だと言われています。ですから、私としては柱を形成するのに、柱を築くそのポシションに重要な選手を置きたいわけです。そして柱が形成されれば、柱に合わせるように周りに適した選手を置いていくのです。

松原 今のウルグアイ代表はどうでしょうか?

マリオ 今のウルグアイ代表は条件をクリアしています。

GKにはムスレラ選手、DFにはディエゴ・ゴディン選手、MFにはニコラス・ロデイロ選手、そしてFWには1人ではなく2人のストライカーがいます。以前のウルグアイ代表にはDFにディエゴ・ルガーノ選手、MFにディエゴ・ペレス選手、FWにディエゴ・フォルランもいました。我々のM12下部組織の各ユース代表も同じ考えかたで構築され、いずれトップの代表でも柱、またはそのサポートでも起用できるように育成していますM13現在、下部組織のウルグアイ代表から4人の選手がウルグアイ代表に先発されています