THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2021.10.15

高原直泰選手インタビュー Part1

下線部・・・高原選手がストライカーに重要な要素にについて言及している箇所

 

松原 ストライカーに必要な要素っていうことを一番のテーマとして、今日はインタビューさせてほしいんだけど。まず、たかがなんでそのトップレベル、一流でやってこれたのか。その辺どう思う?

高原 そうですね、自分がなんでそういうところまでできたのかというのは、まずいい選手たちと若い時に、プレーさせてもらったというのはでかいと思いますね。

松原 若い時というのはどのくらい?

高原 高卒でジュビロ入った時。あのタイミングで、まあ松さんもそうですけど、あの時やっぱ名波さん、中山さん、ドゥンガもいましたし、T1やっぱああいう選手たちと若い時に触れたというのがよかったですね。まずは。

松原 具体的にどの辺に触れたのが良かったの?どの部分?

松原 やっぱ完全にプレー面ですかね。プレーの質っていうんですか、まずそれで自分の立ち位置というのを知ったというか、やっぱまだ全然レベルが足んねぇなとか、でもこの辺は通じるかもとか、結局、ブラジル代表とか日本代表の集まりだったじゃないですか、ジュビロって。それが一つまあ、自分の指針になったのはいいですね。T2これくらいが代表レベルの選手なんだとか、これがブラジル代表でやっている選手なんだとか、その選手がどれくらいの技術だったり、メンタリティもそうですけど、どうやってるのかというのを高卒の段階で触れたっていうのが一番大きかったですね。

松原 もっとさ、俺具体的に今回すごく知りたいんだけど、じゃあドゥンガと触れてプレー面のところ、名波さんと触れてプレー面のところ、俊哉さんも、どの辺を感じた?具体的に。

高原 具体的に言うと、「あ、このタイミングでボール出してくるんだ」っていう、それが一番感じました。どっちかというとその後になってくるんだけど、FWって自分のタイミングでほしいじゃないですか。まだその若い時っていうのは、どっちかというとそこに自分が追い付いていってないっていうか、持っている本人たちはいつでも出せるのに、そのまだこっち側が足りてないっていうか、そこまでの引き出せてないっていうのがありましたね。

松原 例えば、このボードでいうと、ドゥンガがボール持ってて、中山さんでいうと、こっち攻めててどんな感じ?

高原 やっぱり例えば、一番思っているのはいつもそうなんですけど、最短で行くのが一番いいなと思っているんですよ。だから、こういう裏のスペース、ゴールにそのまま直結するような、動きをしたいんですけど、この時は中山さんもそうですけど、俺も基本的にはこういう直線的な動きってあんまりしなかったんですよね。どっちかっていうと、ボールをここに持ってるドゥンガだったり、名波さんもみんなそうですけど、ここをパッと向いたときにこういう動きをしてたんですよ。クロスで。ボールをもらい行ったところで、こういう裏のスペースだったりとか、こういうのを結構お互いに繰り返すというか。基本的にはボールサイドにいる片割れがアクションを起こすと。もしかしたら、これがこういう風になるかもしれないし、そしたらここが空くからこう行くし、でもこれがこう出たら、そしたらすぐサポート行って、ここでキープできたら、こういう感じで行くかもしんないし。だからその、ボールが動くとか、FWの一枚の動き見て、基本的には動いてました。だから、自分としては当然ここからこう行って、こうなってというのが一番いいですけど、でもなかなかこんな単純なことってないじゃないですか。だからやっぱそういう動きもしながら、味方の動きを見て、味方がどういう動きをしたのか、それによって、自分がどう動くかっていうのを考えながらやってましたね。

松原 そのタイミングのところをもうちょっと聞きたいんだけど、出し手と受け手の関係があるじゃない、その辺でたかから何度もタイミングって言葉が出てるんだけど、どの辺が大事な部分なの?タイミングでいうと。

高原 やっぱ、ボールを蹴る前くらいですよね。

松原 例えばボールを蹴る瞬間とか、顔が上がった瞬間なのか、もしくはもう、顔が上がってないけど下を向いた状態でもうたかとは分かり合っていてなのか、どんな感じなの?

高原 基本的にはやっぱり、ルックアップしている時ですよね。大体ルックアップしていて、これがダイレ(ダイレクト)で蹴れるのか、それともワントラップしてすぐツータッチ目なのかっていうのにもよるんですけど、基本的にそこは他のところからパスが出るじゃないですか、そのパスの質で判断します。あ、T3これダイレでくる、この人出せる、前見てるなとか、このタイミングはダイレクトで出してくるぞ、みたいな。だからもうボールがここに来るというよりは、この人からこいつにボールが行くぞと、それで、こいつは前見てるかとか、前見てたら、たぶんボールがいい状態できたら、ダイレクトで入れてくるなっていう、逆にこれ、見えててもワントラップしたら、ダイレクトでもらいに行くようなところで、ワントラップしたら次の瞬間裏に出るとか。だから、全部ここに入る前の状態を見てるし、それで自分が一個ダイレクトでほしかったのに出なかったとしても、出なかった時の次どうするかっていうところまで考えてます。

松原 次の動きまで?

高原 はい、次の動きまで。

松原 一回のアクションだけじゃなくて?

高原 そうです。一回それで自分の中でこれが出てくるだろうなって思ったけれど、100%出てくる訳じゃないじゃないですか。じゃあT4出なかったらそこで止まるんじゃなくて、その動きをおとりにして、また裏に出るとか。常に連動している

松原 例えばサイドバックからトップへ楔が入る、落とす、相手が外によって来る、ここで中に入れる、このタイミングでたかがダイレクトで受ける?

高原 そうです、こういうところに出してくれれば一番いいけど。

松原 だけどこれが出なかった時のオプションも持っていると?

高原 そうです。

松原 例えば、ここで出なかった。コントロールしたときはどうする?

高原 たぶんここで、トンのトンのトンでここからこれが一番いいですけど、そしたらそのタイミングで自分がこのように動くじゃないですか、でも、ここでワントラップしたことで、たぶん俺オフサイドなんですね。なので、ここで動きなおしますね。ダイレクトで出ればオフサイドにならない。でもワントラップしたことで、もう俺出たらオフサイドになっちゃう。そういう時は、やり直すしかないんじゃないかなと思いますね。このパターンでは。ワントラップしちゃったら。

松原 これさ、今話しているのって中盤のゾーンじゃない?これが例えば、一個前のペナルティエリアの中、こうやって入ってきたとき、その時もタカは一回のアクション、点を取るイメージだけじゃなくて、同じように持ってるの?

高原 そうですね。T5基本的にあの時一番点取れた時って、コンビネーションが良かったって言えばそれまでなんですけど、やっぱ、俺と中山さん、常にこうやって入るんですよ。コンビネーション。二人の関係で。当然ニアにクロスが入ることが一番いいですけど、潰れることが多いですよね。特にこういうところから上げる時って、ある程度ニア目がけていくと、このニアの後ろくらいで入るとほぼほぼドフリーになる。ピンポイントで。これがもう少し深い位置になると、ニアのすぐ後ろというよりは、もうちょっと後ろくらいの、ここでフリーになることが多いですね。

松原 タカはアルゼンチンとかドイツ ブンデスリーガとか色々やってきたけど、自分が一番ゴール決めてきた時って良きパートナーがいたってこと?

高原 そうですね。こうやってFWでくる選手だったり、パサーで自分の動き、タイミングで出せる能力がある選手が、必ずいましたね。ジュビロだったらほぼ皆そうだったかな。ドイツの時はフランクフルトで一番取ったんですけど、その時はシュトライトっていう選手がよかったですかね。T32自分のタイミングと合ってましたよね。動き出すタイミング

松原 そのシュトライト選手がいたときはどんなフォーメーションで、シュトライトはどこのポジションだったの?

高原 その時のフランクフルトは、4-3-3だったかな。普通にオーソドックスな4-3-3。ワントップ気味のシュトライトは、ここの(右のシャドー)選手でした。

松原 右利き?

高原 右利きです。

松原 シュトライトからボールを受ける時のたかの得意なゴールの形はどんなだったの?

高原 基本的にシュトライトがこの辺くらいにいて、俺がダイアゴナルに走るのが多かったですかね。ここから出てみたいな。こういうパターンが多かったですね。

松原 じゃあ斜めの動き?

高原 そうですね。やっぱ斜めの動きですね。

松原 じゃあ、そこに対して見てて、ここに出す?

高原 そうですね。だから、自分を知るというか。俺がもしかしたらスピードめちゃくちゃあって、ぶっちぎれるんだったら、直線的な動きの方がいいですよ。でもやっぱり、そこまでのスピードはないので、まず角度を自分でつけて、相手のDFと駆け引きして、当然そのまま前を向いた状態だったら、そのまま行けますけど、ここで一回トラップしたとしても、ここからT6ターンで相手をかわしてシュートを打つっていうのが得意だったので、だから全然ここ苦じゃないですよね。だからこういう動きして、こういうところでもらって、ここでターンして相手はがしてシュート。俺はそういうパターンが多かったと思います。それとあとはセンタリングに対して合わせる。

松原 たかのイメージでいうと、両足使える、頭でもいける、それでゴールを決める。最も印象的なのは、ペナルティエリアの中でプレーする選手だなって思ったのね。このペナルティエリアっていうのは意識してプレーしてたの?それともしてない?

高原 意識はしてましたね。意識はしてるし、だいたいこのエリアの中だったら、もし自分が受けたら、T7基本的にはゴール見なくても、自分の足の感覚のところで、だいたいゴールこの辺にあって、普通にこうやって打って、だいたいこの辺に行くっていうのはわかりましたね。その辺の感覚的なものはゲームだけじゃなくて、T8普段の練習の時の個人のトレーニングで、ある程度ペナの範囲内でシュートまで持っていってたので、ゴール見なくても体に染みついてる。ある程度ラインのこういうところだったりを見れば、自分がこの辺にいてというのが、ゴールがここにあってというのが、だいたいここで受けたらキーパーがこのくらいのところにポジション取っているからとか、ある程度自分の感覚的なものでありましたね。

松原 だいたい、どの辺になってくるとタカはそういうイメージが湧いてくるの?ここがゴールだっていう。

高原 最後の三分の一くらいのところでは、ある程度イメージは持ってますよね。ボールがこう動いてる中で、自分がどういうアクション起こしてとか、逆に味方が崩してくれたサイドだったり、それによってこういう風にゴールまで持っていけるとか、というイメージは常にありますよね。あとはこの中で自分が、味方の蹴れるタイミングだったりとか、センタリングもそうですけど、それによって自分がそのタイミングを計って。T9要はDFよりも先にボールを触ればいいですよね。ペナルティエリアの中では。そしたら自分の勝ちというのがストライカーにはあるじゃないですか。ダイレクトで決めるとか。俺も180cmくらいで身長がずば抜けているわけではないので、あんまりフワーンとしたボールでヘディングでドーンっていうよりは、相手よりも半歩でも先に前に出で触ってゴールっていうパターンの方が俺は多かったので。

松原 例えばクロスボールに対して、タカはどのくらいで半歩先に入ろうと思うの?ボールが移動してくるときに勝負しているのか、それともここに入ってから蹴る瞬間で出てくのか。

高原 完全に蹴る瞬間ですね。こいつが中を見たとき。選手にもよるじゃないですか。パッと見ただけでもわかるやつもいるし、能力が高くなればなるほど。そういうところを逃さないってことですよね。T10こいつがいつ中を見ているのか。それを逃さないってことです。

松原 それを逃さない、の中には、皆同じタイミングで出るんじゃなくて、選手の特徴に合わせて。こいつは0。5秒早いと、それで出てくとか。

高原 そういうのって、選手の質にもよるから、やっぱり能力が上がれば上がるほど、その選手がいつでも出せる状況っていうのは広がるので。この選手だったら、このタイミングで動き出しても絶対見ててくれるから、出してくれるだろうっていうのがあります。

松原 それはどの位置でもそうなの?

高原 そうですね。どの位置でも基本的には一緒です。ただやっぱり、中山さんとやっていたころは、ゴール前のところでは、ファーにいたやつがニア、ニアにいたやつがファー、どちらかというと、どっちが点とるかというよりは、どっちかが点とればいいよねっていう感覚なんですよ。

松原 じゃあ、俺が俺がというよりは、どっちかが点とってチームを勝たせればいいよっていうメンタリティのなかでプレーしてた?

高原 そうです。でも結局そうなってくると、やっぱり点とれちゃうんですよ。不思議と。こういう動きしてると。これがこのまま直線的に入っていくと、DFって見れてるから楽なんですよね。対応しやすい。自分の視野の中から消えないから。でもこれが、自分の視野に入ってない選手がいきなり後ろから前に来たら、とりあえずこれで遅れるじゃないですか。で、こいつのことを本来だったら見てたのに、後ろから来たから、こいつに行かなきゃいけない、そうするとついてたやつがよって、空いたところに入っていくと。ここでDFが混乱する、つききれなくなりますよね。状況でいうとこの間のCS、浦和対鹿島の二試合目、埼スタでやった時、たぶんこういう形だったんですよ。右から上がって、興梠と武藤がいたんですよ。ひとりニアに入って、興梠がフォアに行って、クロスがフォアに上がってどフリーでボレーでっていうのがあったんですけど、これがやっぱり、理想って言っちゃ理想ですよね。楽っていうか。わかりやすいっていうか。

松原 だけどさ、レベルが上がってくると、たかのこととか分析して、守備の構築とかすると思うんだけど、そういうときはどうするの?

高原 これ面白いもんで、わかっていてもなかなか対応できないんですよ。そういうのって、人間って。体が反応しちゃうんですよ。どうしても。だから、自分の見えないところから来るから、絶対的に有利なんですよ。こいつの前で勝負できる。クロスが上がってきたときに、合わなくても、混乱するんですよ。絶対後ろのところに来たりするんですよ。

 

Part2に続く