THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2021.09.16

ストライカー育成 日本と南米の比較 研究方法

第2章 研究方法

 

2-1 研究の方法

本研究は、インタビュー調査による事例研究および、JFAが編集する『Football Conference(フットボールカンファレンス)』を使った資料研究、さらに(2017年当時の)現役の日本サッカー協会技術委員長へのインタビューでまとめた。

私がプロサッカー選手の時に世界的に著名なFWの選手と出会ったことや、南米の選手を実際に指導する指導者の知人が多く、実際に彼らから直接話を聞く機会を持つことができるため、今回は質問紙調査ではなくインタビュー調査を選んだ。

また仮説から導いた質問に対する回答だけではなく、インタビュー対象者が実際に発する言葉から、質問以外の要素を導き出すことができることも、質問紙調査ではなく直接話を聞くことにした理由である。

ただし、著名な人物へのインタビューのため、匿名化が困難である。そのためインタビュー対象者には個別に研究への承諾を得た。なお、筑波大学倫理委員会(承認番号:体29-9号)の承認を得ている。

インタビューデータはサッカーの知識のある通訳者によって日本語の文字に起こしたのち、KJ法により分析を行った。

 

KJ法(川喜多二郎,1986)

インタビュー対象者の言葉を全てデータ化し、その多種多様なデータを要素別にグループに分け図解化、叙述化することで、それぞれの要素の関係性を把握しやすい状態にし、要素を統合するなどして新たな問題解決の糸口を見出すことが可能な方法とされており、本研究の目的を達成するためにふさわしい方法であると判断した。

 

KJ法の過程

 

 

2-2インタビュー対象者

選手は以下の3名である。

◆ 高原 直泰 (たかはら なおひろ)

1979年6月4日生まれの元日本代表である。

2002年にJリーグ最優秀選手賞、得点王、ベストイレブンを受賞している。

2001年にマラドーナも在籍したこともあるアルゼンチンのボカジュニアーズでプレーし、南米のサッカーを知るストライカーとしてインタビュー対象者とした。

 

◆ ダヴィド・トレゼゲ

1977年10月15日生まれの元フランス代表である。

2002年にセリエA得点王を獲得し、1998年のFIFAワールドカップフランス大会において、フランス代表チームのメンバーとして優勝を経験した。

出生地はフランスだが両親は共にアルゼンチン人で、2歳の時にアルゼンチンに移住。フランスとアルゼンチンの国籍を所有しているため、南米のサッカーを知るストライカーとして、インタビュー対象者とした。

 

◆ エディソン・カバーニ

1987年2月14日にウルグアイサルトで生まれた現ウルグアイ代表選手である。

2007年の19歳の時にイタリアセリエAのパレルモと契約しヨーロッパへ渡り、2010年より同じくセリエAのナポリへ移籍し、2012-13シーズンにはセリエAの得点等に輝いた。

2013年からはフランスのリーグ・アンのパリ・サンジェルマンに所属し、2016-17シーズンはリーグ・アンの得点王となる。2021年現在は、イングランドのマンチェスターユナイテッドに所属する。

ヨーロッパ5大リーグのうち、2か国にて得点王に輝いた彼は「ストライカー」についての要素を聞きだすためにインタビューを行った。

 

 

指導者は以下の4名である。

◆ グスタボ・ポジェ

1967年11月15日にウルグアイで生まれた、元ウルグアイ代表である。

選手時代はスペインのサラゴサ、イングランドのチェルシーやトッテナムでプレーし、引退後はイングランドやスペインのクラブで監督を、2016年11月からは上海緑地申花足球倶楽部の監督を勤めていた。2018年にフランスリーグアンのボルドーの監督に就任し、2021年現在はチリ1部ウニベルシダ・カトリカの監督を務める。

2010-11シーズンにイングリッシュフットボールリーグ1最優秀監督賞を受賞している。

 

◆ マリオ・レボーショ

1964年12月8日にウルグアイで生まれた、元サッカー選手である。

2006年からウルグアイ代表のタバレス監督のアシスタントとしてウルグアイ代表チームのコーチを勤め、カバーニや優秀なストライカーであるスアレスに対し指導を行う。

 

◆ オスカル・タバレス

1947年3月3日にウルグアイで生まれた、元サッカー選手である。

現役を引退後、ウルグアイリーグやイタリアセリエAクラブなどの監督を歴任し、2006年からはウルグアイ代表チーム全年代の総監督を勤め、カバーニやスアレスに対し指導を行う。

2010年、2011年に南米年間最優秀監督賞を受賞している。

 

◆ カルロス・マンタ

1951年5月19日にウルグアイに生まれた、元サッカー選手、元指導者である。

現在はウルグアイのプロクラブ、プラサコロニアの会長である。

クラブのゼネラルマネージャーの経験もあり、サッカークラブ経営、ウルグアイサッカーの歴史や育成、強化などの指導について精通している。