THEORYThe Results of Academic Report of Yoshika

2021.11.03

高原直泰選手インタビュー Part3

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下線部・・・高原選手がストライカーに重要な要素にについて言及している箇所

※T1~T36:インタビュー   ※TT1~TT5:電話インタビュー

 

松原 どうだった?環境変えてみて。

高原 環境変えてみて、やっぱりよかったです。最初は大変でしたけどね。最初は、W杯の後で、俺ちょっと怪我してた関係で、合流遅れてたんですよね。で、フランクフルトの場合は、さっき言った、ワントップ気味のスリートップで、俺は左。復帰したときは左で、右はシュトライト。ダブルボランチのトップ下みたいな感じだったかな、ポジション的には。4-3-3で。結構大変だったんですよね。左だと、運動量も多くて。

松原 量は増えるよね。

高原 そう、めちゃくちゃ増えて、大変だったんですよ。だから、最初のうちはなかなか点に絡めなかったんですよね。そのタイミングでこいつが怪我して、ここのポジションやることになったんですよ。

松原 真ん中を?

高原 T35真ん中を。そしたら、一気に点がとれるようになったんですよ。だから、そのチャンスを生かしたっちゃ生かしたんですけど。

松原 でもたかとすると、真ん中でプレーしたいとずっと思ってた?

高原 ずっと思ってました。俺、ここでプレーしたら絶対結果出せるって、そういう気持ちはめちゃありました。

松原 でもそれは監督には話ししなかったの?

高原 話ししました。

松原 なんて?

高原 まあ、そういうのも考えているけど、今は、アマナティリスっていうギリシャの代表の選手だったんですけど、こいつをワントップで考えてるから、みたいな。だから、T23常にそういう話はしてました。特にこの頃って、めちゃめちゃこだわりあったんですよ、このポジションに。この、FWのトップのところで自分が勝負するっていう。とにかく、ここのこだわりがめちゃめちゃ強かったんで、ここで俺に勝負させろってずっと思ってたし、監督にも言ってたし、ここでプレーしたら絶対結果出すっていう。そのくらいの思いはありました。

松原 どの辺でそういう強い気持ちが芽生えたの?

高原 いや、もうずっとありましたよ。ドイツ行った時からずっと。ハンブルグに行った時もそうでしたし。なかなか最初のところでは、ロメロが怪我してていなくて、最初はここやってたんですけど。復帰したら、サブだったりとか、サイドで使われることが多かったんですよ。だから、最初にドイツ来た時から思ってました。ここで勝負させろって。俺はこんなサイドとかでプレーするプレーヤーじゃねえみたいな。とにかくここの真ん中でプレーすることのこだわりはめちゃめちゃ強かったです。

松原 でもその辺の俺にやらせろとか、こうしたいっていうのはどの辺で変わってたの?前向きな姿勢だよね、ある意味さ。日本人ってあんまり言わなかったじゃん、気持ちにも出さないし。どの辺で成長してったの?たかは。

高原 それは、日本で得点王にもなって、ドイツに来れて。やっぱり自分が、日本人としてここのポジションでやっぱり勝負するっていう、そういう気持ちで来たんで。奥寺さんとかやってましたけど、そこから長い期間が空いて、日本人が久々にドイツ来て。そうすると一人の日本人として見られるわけですよ。日本の代表じゃないけれど。だから俺は、日本人の力を証明したいっていう思いもあったんで。俺は、ここで勝負させろと。

松原 やっぱそれはさ、日本のサッカーが強くなっていったっていうことも自信につながってんの?

高原 どっちかっていうと、日本人なめんなよっていうか。できんだよっていうのを見せたかったですね。やっぱ、そういう思いが強かったですね。

松原 日本人として俺が証明してやると?

高原 そうです。

松原 それはいつも思ってプレーしてた?

高原 そうですね。ずっと、いつも思ってました。

松原 なるほど。ふっと思い出したんだけどさ、たかの得意な形の、例えば、たかがここにいて、ペナルティエリアに入ると、常にゴールを意識してるっていうのがあるけど、ターンして左足でドカン、右足でドカン。ターンしてさ、フィニッシュ、ゴールするっていうイメージが、他の日本人にはないようなところがあったと思うんだけど、この辺はどう?

高原 これはもう、自分としてはめちゃくちゃ自信があったんで、逆にここでプレーできないと、得点をとるチャンスって減るんじゃないかと思ったんですよ。あとは、ここでしっかり相手のDF、190cmだろうが何だろうが、こいつらをおさえて、ちゃんとキープしてフィニッシュまで持っていって、できれば、自分のプレーの幅、得点をするまでの幅が広がるし、でもこれができなかったら、あとはセンタリングからだったりとか、前を向いた状態で自分がもらって勝負するくらいしかないじゃないですか。

松原 そうすると限られちゃうもんね。

高原 はい。一番自分の幅を広げるには、ゴール前で勝負できる、相手をおさえてキープしてターンして、ここでシュートまで持っていてれば、他のプレーの幅も広がってくると思うんですよね。要はドゥンガに言われたじゃないですけど、味方を生かすプレーっていうのができると。

松原 このプレーはあんまり日本人はないと思うんだけど、ここで前向けたとしてもパスしたりとか、でもここでシュートを打ってゴールを奪う選手っていうのはどの辺で自分のものにしてった?

高原 T24高校生くらいの時から、こういうプレーは多かったと思いますね。

松原 どうして?誰かのプレー見たの?

高原 いや、自然とそういう風になってましたね。もともと俺もポストプレーが得意な選手じゃなかったです。基本的には。

松原 収まるけどな。

高原 ポストプレーが得意な選手じゃなかったんですけど、T25ジュビロ入ってからですかね、そういうところも成長したのは。で、結構ここで勝負できないと、もういけないというか。日本のこれからのストライカーに期待するのは、やっぱ、ここのところで勝負できる。

松原 ペナルティエリアの中?

高原 はい。T36ペナルティエリアの中で受けて、シュートまで持っていける。これを完全にかわす必要ないじゃないですか。ちょっとでも外して、巻いて狙うとか。さっきのカットインの話もそうですけど。ここで、ターンして相手がシュートブロック来るところの股を狙って逆サイドとか。右の方に持っていっても、こいつまた股が空くなっていうイメージで、逆サイド狙えるとか。そういうところが勝負できるFWが出てきてほしいですよね。

松原 対峙するDFの特徴っていうのは、プレーしながら感じてた?

高原 そうですね。

松原 観察して?

高原 観察して。あとは、こっちで餌まくじゃないですけど、巻いてシュートを打つ。今度は、巻いてシュート打ったから足出したくなるじゃないですか。そしたら、足出したくなるような感じにしといて、次は股狙うとか。だから、そういう自分で餌をまくと。逆に一発目で巻いてシュート入っちゃえばそれでいいんですけど。そうじゃなかった時、外れてしまった時、それが次のプレーにつながるようなことをするというか。やっぱ相手と駆け引きをする。そういうところでも。

松原 そういったところでは、一歩先、二歩先まで相手より読んでないとね。

高原 そうですね、はい。

松原 例えばさ、たかが決定的なチャンス外しちゃったとするじゃん、その時さどういう心境なの?

高原 いやー、外しちゃったー、と思います。

松原 なるほどね。

高原 T26でも、気にしないっす。それで、うわー、ってなってても、意味がないです。で、とにかく、ストライカーって一点取ればとりあえずいいみたいな感じあるじゃないですか。自分的にも。だから、そこでビックチャンスを外したとしても、そこで試合は終わりじゃないので。その次にチャンスって必ず来るし、それを次決めれば、帳消しになるかはわからないですけど、ある程度それでフィフティフィフティにとらえればいいかなと。とりあえず、そんな一回のミスでガクッとしないってことですよね。その辺のメンタル的な強さも必要かな。

松原 その辺は子供のころからも今も変わらない?

高原 そうですね。あんま変わんないですね。逆に子供の頃ってあんまりそんな考えたことなかったですね。もう、サッカーするの楽しいとしか思ってなかったんで。あんまり、小・中・高、高校生でも思ったことなかったです。なんか、すげーチャンス外しちゃって、うわーっていうのはなかったですね。逆に、プロになると、今までと違って、それでお金もらうっていう感覚が芽生えてくると、多少プレッシャーかかってくるじゃないですか。そうなってくると、今までただ楽しくやっていたサッカーっていうのが少し変わってくるというか、プレッシャーも受けながら、結果を出していかなきゃいけないっていうのが生まれてくるので、T27よりメンタル的な、自分の考え方っていうのを明確にしなきゃいけないなって思いましたね。プロになって、ずっとプレーしていく中で。一年目はただがむしゃらにやるというか、まだまだそんなところまで考えないですけど、T28どんどんやってくと、責任感がどんどんどんどん乗っかってくるっていうか、純粋に上を目指しているだけではやっていけないというか、勝手にそういうのが生まれてきて。でもそれを自分の中で考えて、できるかどうかっていうのが、メンタル的に。

松原 では、ゲーム中に何を考えているか。

高原 ゲーム中に考えているのは、どうやったら点を取れるかっていうことですよね。それがやっぱ一番です。だから、相手がどういう風に守っているとかっていうのもあるし、そういうのをいち早く理解するっていうか、そういうことが大事ですね。だから、それでこういう風に守ってきてると、だから、どういう風にプレーして、相手を揺さぶっていくか。とにかくどうやったら、点を取れるのかっていうのを考えてますね。常に。

松原 あのさ、打てば入るって時があるじゃん。逆にそうじゃないときもあると思うんだよね。入らねーなこれって。その時はどうなの?

高原 その時もとにかく変えないです。やり方を。だから、シュートを打っても打っても入らないとかっていうときはありますけど、でも逆にそれだけシュートに持っていけてるというか、そういう風に理解してます。だから、それをやり続ける。俺なんか、ジュビロでも、代表でもそうですけど、シュートをたくさん打てばいいっていう感覚は持ってなかったですね。

松原 どういう感覚なの?

高原 例えば、シュート一本しか打ってなくても、その一本が入ればいいでしょ、っていう感じがあったんですよ。だからよく、なんでシュート打たねんだよとか言ってますけど、俺はそれあんまり気にしたことないです。じゃあ、シュートたくさん打ってればいいの?みたいな。でもゴール入ってないじゃんみたいな。だから、シュートの本数がどうこうよりは、質の部分。結局、それも全部結果論ですけど、そうやってシュート一本しか打ってないけど、その一本が入ってる時もあれば、当然、5本6本打って入る時もあるし、どっちがいいっていうのはないですけど、結局は全部結果論なんですよね。だからそれをどういう風に思うかっていうのは、自分次第だから。別に、気にしないで、でも点とれてるでしょって、それが一番大事なんですよね。それによって、チームが勝ってるとか、それが一番大事だと思います。

松原 最後に、ストライカーにとって大事なところ。今の日本のサッカーにはストライカーがいない、なかなかね。岡崎とか素晴らしい選手もいるけれど、やはり、ボランチの方まで下がって守備するシーンが多かったりとか。やっぱり、ストライカーが出てきてほしいじゃない。何が必要だと思う?

高原 何が必要ですかね。FWってやっぱり、いろんな要素が必要ですよね。メンタル的な要素とか、技術云々よりも。やっぱりすべての要素を持ち合わせてないといけないっていうのはあるんですけど、T29自分の特徴ってあるじゃないですか。それをやっぱ理解するってことですよね。己を知る。苦手なところを頑張って克服しようとするよりかは、自分ができるところをさらに伸ばしていく方が、俺はいいと思うんですよ。だから、さっきのロメロじゃないですけど、彼はできないことはできないって、スパッとやらないし、自分のできるところだけを強調して、そういうプレーをやり続けるっていうところでは、見習うべきところではあると思うんですよね。だから、T30器用貧乏では、そういうストライカーは出ないと思う。ストライカーにもいろんな形があると思うんですよね。

松原 やっぱ、日本は器用貧乏に感じる?

高原 感じますね。俺なんかはどっちかっていうと、両足も蹴れるし、ヘディングもある程度勝負できたから、ターンのところでも自信あったんで、そういうところで勝負したいなっていうのは当然あった。だから、そういうところは徹底的に練習をしたし、逆にそういうところができるようになるとプレーの幅が広がるし。周りも生かせるし。周りを生かすことで自分にもまたチャンスが生まれてくるからってところでは、そういうところも意識してずっとやってきたんですけど、ただ、みんながみんな俺みたいにはならないじゃないですか。ある選手はスピードがあってとかだったら、俺とは変わってくると思うし、でも、相手にプレッシャーを受けても、しっかりボールをおさえられるというか、そういうところは基本かなって思うんですよね。その、純粋なストライカー像っていうのは。まず、攻撃の起点になるってことですよね。俺がいつも思っていたのは、中盤のところにボールが入ります、で、そこで攻撃の起点になって、落とすじゃないですか、あとは、ゴール前で勝負できればいいなと思ってましたね。中盤で頑張ってなんだ、よりは、まずは攻撃の起点になる。そして、ゴール前で勝負する。

松原 じゃあ、中盤で起点のなるのと、最後ゴール決めること、この二つだ。

高原 そうですね。そんな仕事多くないと思いますね。FWって。今、ディフェンスしなければならないっていわれてますけど、当然、チームの約束事でやることはきっちりやって、でも、攻撃の部分ってところはこの二つの仕事だと思うんですよね。

松原 シンプルだよね。

高原 シンプル。でも、シンプルだからこそ、結構難しいことがあると思うんですよ。だから、今だったら誰ですかね。ジエゴ・コスタとか見てると面白いと思うんですよね。こういう、セスクなんかから長いボールが来て、DFと対峙しながらも抜け出すシーンが多いんで、これを、胸トラップとかで一発で入れ替わって、シュートとかあるじゃないですか。あれでも結構理想ですよね。ストライカーとして。裏狙って、そこにいいボールが来て、そのタイミングで自分で勝負できる。あれが理想ですよね。手数かけず、決定的なシーンを作れるっていうのが。そのためには、動き出しのタイミングだ、それをワントラップでかわす技術だ、っていうのはそういうところに凝縮されているというのはあるんですけど。点を取る技術、ただシュートがうまい下手にかかわらず、T31シュートまで持っていくところの技術が大事だなって思ってるんですけど。それはじゃあどうやって育てるんだと。

松原 難しいね。

高原 難しいですよね。

松原 でも、今話してもらったことをもとに、具現化したいと思うんで。

高原 逆に言えば、そういう選手が日本人で出てきてほしいなっていう期待はありますよね。俺自身もそういうところで勝負してきたつもりだし、そういうスタイルの選手が出てきてくれるとすごい楽しみ。こっちもおもしろい。

松原 明るくなるよね。

高原 明るくなりますね。出てきてほしいですよね。本当に。

松原 じゃあ、そういうところで、ありがとうございました。

高原 ありがとうございました。

 

 

以下、電話インタビュー。(分析をする過程で、追加で質問が必要となりインタビューを実施)

 

松原 2002年はJリーグ得点王、ベストイレブン、JリーグMVPタイトルを総なめしました。なぜでしょうか?

アルゼンチンリーグ、前のシーズンでは6試合で1ゴールしか挙げていません。そこには何があったのか?

高原 TT1メンタル面の意識に変化がありました。アルゼンチンのボカジュニアーズには一人一人に高い意識が明確にありハングリーな環境でプレーすることによりサッカーに対する考え方が変わりました。自分がこの先どうなっていくのか?当時はボカジュニアーズに入団してヨーロッパへ行こうとしていましたが、いろんなことがあり日本からヨーロッパへと変わっていきました。TT2結果を出し続けないとボカでは生き残れない。アルゼンチンの選手には特にここが強く生きるためにサッカーをしていると感じました。サッカーに対する考え方が全く違い、背負っているものが違う。だからボールとプレーに対する執着心が異常に強い。2002年日韓ワールドカップがある年の初めアルゼンチンの経済が悪化し日本に戻らなければならなくなりました。そこで日本ジュビロに復帰しました。

その2002年3月に、エコノミー症候群になってしまいました。4、5、6月の3か月間サッカーが出来なくなってしまった。ワールドカップも出場することが出来なくなってしまった。ここでいろんなものを失くしてしまった。いろんな事を考えた結果、TT4自分は結果を出すしかない、それはゴールを決める事でした。日本でプレーはするが、助っ人、外国人の意識でした。

2002年6月日韓ワールドカップがあったが、この時期のプレーできない3か月間で普段トレーニングできなかったところを徹底的にトレーニングしました。例えば、TT5筋トレやフィジカルトレーニングで復帰した時の準備をしていました。頭の中には、常にヨーロッパと代表がありました。